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老兵は死す。  

と言ってしまうと、「縁起でもない」と怒られてしまうだろうか。
しかし、昨年末、有馬記念のタップダンスシチーを思いだしたら、ふとそんな感傷にふけってしまった。

サラブレッドの改良が進むと同時、馬場の改良も進み、かつてない程の高速タイムにお目にかかることも珍しくなくなった。2005年のJCでは、ホーリックス・オグリキャップが叩きだした世界レコード[2.22.2]を更新するスーパーレコードも飛び出た。スタミナからスピードへと偏重する昨今の競馬会において、ある意味必然なのかもしれないが、功ばかりではない。速いというのは、それだけ馬への負担も大きい。
思いだすのは、2004年のダービーである。勝ったキングカメハメハは、超高速馬場と言われた東京で、3歳馬としては破格の[2.23.3]で駆け抜けた。3着ハイアーゲームまでが2分23秒台。むろん、ダービーレコードである。[府中改装後であるから参考にはならないが]。
神速のタイムに多くの人間が酔いしれたが、その代償はあまりにも大きすぎた。
まず優勝したキングカメハメハは、秋までもったが屈腱炎に倒れ引退。
4着キョウワスプレンダ、12着コスモサンビーム、14着アドマイヤビッグ、15着ヴンダーが骨折、13着マイネルデュプレが繋靭帯炎、16着マイネルマクロスが屈腱炎、そしてマイネルブルックが競走中止→予後不良。
1レースでこれほどの馬を殺ったレースは珍しい。というか、問題であろう。まがりなりにも栄光のダービー、未来ある若駒たちのレースなのだから。

こんな時代だけに、競走馬の寿命は長くない。また、多くの有力馬は怪我がなくても、種牡馬の価値を考えて4歳、長くて5歳で引退する。それだけに、G1を二勝し、凱旋門まで突撃したタップダンスシチーは異彩と言える。8歳、旧齢ならば9歳まで奔った。別に騙馬というわけではない。
タップダンスシチーの相棒といえば佐藤哲三だが、意外にもはじめてコンビを組んだのは5歳になってからである。阪神の朝日チャレンジCだったが、重賞でイマイチ勝ちきれなかったタップ見事に優勝に導いている。よほど手が合ったのだろう。それ以降、この名物コンビは生涯の苦楽を共にする。
そしてその能力は、年末に向けて一気に花開く。
無傷の6連勝で秋華賞・エリザベス女王杯を制してきた怪女ファインモーションの参戦で盛り上がった2002年の有馬記念。結局ファインモーションは道中のリズムを崩しまくって5着に敗れたが、その立役者(罪人?)は13番人気でこっそり出走していたタップ&佐藤哲だった。
ファインがハナに立てば後ろから煽り、タップが先頭を奪えばスローに嵌める。この繰り返しで、若きファインの精神は完全に崩壊した。一方のタップは、最後はシンボリクリスエスのザ・ワールド※が炸裂して刺されるも、2着に残る大金星をあげた。
明けて6歳。タップは最充実期を迎える。東京リニューアル記念をレコード勝ちすると、金鯱賞悠々逃げ切り。春のGP宝塚記念では並み居るG1馬を向こうに回して3着に入る。もはや、タップを伏兵扱いする者はいなくなった。
そして秋。タップと佐藤哲は、生涯最高のレースを演出した。世界の馬が集まる国際舞台JCでの、ド派手な逃げ切りである。
1番枠を利してハナを切ると、埒沿いをグイグイ逃げた。後続は、不良馬場に脚を捕らわれて、思うように伸びてこない。佐藤哲は後ろを振り返ることもなく、タップを押した。後に「足音が聞こえなくて心配した」と述懐したが、それもそのはず、二着のザッツザプレンティは遥か9馬身後方にいた。1番人気のシンボリクリスエスは、さらにその後ろでもがいていた。
アナウンサーが「逃げ切るとはこう言うことだぁぁ!!!!!!」と金切り声で実況する。まさに「まんまと逃げる」という形容がピッタリの、絶好の逃げ切りだった。泥まみれの17頭を従えて、真っ白のまま戻ってきたタップと佐藤哲。誰が言ったか、やはり勝ったものは美しかった。
有馬記念では思わぬ敗戦を喫したが、翌年7歳になってもタップは元気だった。金鯱賞を逃げ切りで連覇し、前年3着だった宝塚記念に堂々主役として出走する。このレースでもタップは、類い稀なる奔りを見せた。
逃げるローエングリンを二番手から苛める。ローエンは、ハナを切っているというよりも「切らされている」感じだった。
三コーナーあたりからさらにプレッシャーを強めていき、四コーナーでは我慢しきれないといった態で、先頭に躍り出る。脚色は後続馬の方がよかった(ように見えた)。が、ラスト百メートルに差しかかってもタップと後続馬の差は縮まらない。タップはそのままゴールまで押しきり、シルクフェイマス以下を2馬身切り捨てた。まさに横綱相撲とはこのことか。スピードの持続力は圧巻であった。

自他共に認める古馬チャンピオンになったタップは、凱旋門賞に挑戦した。が、好事魔多し。輸送用飛行機のトラブルで、予定していたよりも渡欧が押した。現地でロクな調教もできずに出走するはめになり、ロンシャンの森に沈んでしまった。精神的に参る負け方だった。もしかしたら、強いタップに戻れないかもしれない・・・・・。
しかし、何とかその年の有馬記念に間に合ったタップは、自分のいない間に古馬チャンピオンになったゼンノロブロイに肉薄する。惜しくも勝利は逃したものの、凱旋門賞からのブッツケとしては立派な二着を確保した。御年七歳である。

いよいよタップのキャリアも晩年を迎えることとなる。前年、前々年と同様に金鯱賞で復帰したタップは、同レース三連覇を成した。が、ここまでだった。連覇を目論んだ宝塚記念で7着、初参戦の天皇賞・秋で9着、二度目の戴冠を目指したJCで10着、そして最後の有馬記念では12着だった。
往年のタップらしさは随所に見せてくれたものの、寄る年波には勝てぬのか、最後の踏ん張りがなかったのだ。

ラスト4戦のタップに関して、俺は競走馬の完全燃焼を見た気がする。ガソリンの残り1滴が枯れるまで奔ることをやめなかったタップダンスシチー。競走馬としてのタップは死んだのだ。ただ消え去るのみの老兵よりも、人々の記憶には残るであろう。これからは種牡馬として、子供で再びターフをアッと言わせてほしいものである。

※マンガ「JoJoの奇妙な冒険」のキャラクター、DIOが使う能力(スタンド)。時間を止めることができる。あの有馬のクリスエスの末脚は、まるで他が止まっている瞬間を、ただ一頭だけ奔ったようだった。ワープしたように見えたのだ。
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